山崎はるかのメモ

INSメイトV30Towerのメモ

- ひょっとしてNTTオリジナル製品か? -

 


はじめに


かつての 電電公社時代は、電話機の販売が自由化されておらず、「電話機」といえばNTTから借りるものであるというのが常識だった。
したがって各メーカーも「電電公社に売ってもらう」というのが基本であった。

民営化された現在、各地域NTTで売っている電話機・TAは、松下やNECのOEM製品であることも、この名残といえるだろう。

だが、細々とであるが 一部の商品において、NTT独自の一般製品も あるには、ある。

NTT東日本・NTT西日本双方のオフィシャルTA「INSメイトV30Tower」。
いろいろ調べてみたが、このTAは、 どうも 独自製品らしい。
(ただNTTは商用機器の製造ラインを ほとんど持っていないため、どこかのメーカーに製造を委託しているだろうが)
だが RVS-COMが使える点などから考えると、他メーカーのOEMであることも考えられる。

JATEの認証(端末認定)は
東日本電信電話(株) INSメイトV30 Tower 00/03/23 C00-0224JP
で、通っている。
これだけじゃ わからん。

正体不明では、アプリケーションを作るとき、いろいろ不都合だ。
というわけで、このTAを分解してみることにした。

NTT INSメイトV30Tower
(NTT東日本のページより)

 

中身 -どうも オリジナルのようんだ -

《分解》

電池ケースを開けると、プラス木ネジが2本あるので、それを はずす。

さらに、電池ボックスをはずすと、基板とつながった電源コネクタがあるので、これもはずす。

TA全体のケースは、4点のツメで「ハメコミ」となっている。

TAに限らず 多くの小型家電は、シールが 貼られている部分に 何がしか意味がある。
シールをはがすと さらにネジが出てくることもあるから要注意だ。

ただ、INSメイトV30Towerの場合は ここを 「グッ」と押すだけで、ケースがはずれるようになっている。
《基板》

基板はエポキシ2面基板。128mm×158mm。

左上がアナログ部
右上が制御部。(背面に高周波シールド)
左中段がUSBインターフェース
左下がシリアルコントローラー
右下が電源部

全体的にムダがなく、コンパクトなワリに ゆとりを感じる。
(こういう構成は ゆとりがあるのは、完成度が高いということである)
設計レベルから 低コストを意識したのは明らかで、コンプトは研究者が起こしたものだとしても、基板を起こしたのは「生産」を知っているメーカーの人間ではなかろうか。

 

《プリント》

基板には「V30 TOWER」の字が印刷されている。
これで 専用製造ラインから出ていることが見えた。

なんとなくだが、基板全体に 松下と日立を足して2で割ったようなクセがある。
(気のせいかもしれないが)
これどっかで 見たような気がすると思ってたら、NTT-ME MN128miniVに すんげぇ よく似てねぇか?

クリスタル(水晶)のそばに、正体不明のコントローラが存在する。
ロックウェルのチップみたいだが、見たことねー。

ロックウェルは 昔から「ブラックボックス」を作りたがるメーカーで、問い合わせても ロクな答えが返ってきたためしがない。

考えても わからんから、ほうっておく。
制御部に NTTエレクトロニクスのISDN制御チップ・NLD0197がある。
ICというより、ワンチップマイコンに近い石である。
ここで 高周波にすぎないISDNキャリアを「デジタル信号」に変え 意味のある信号にしている。
非常に重要なチップである。
アナログ部では、intersil のアナログ電話エミュレーター・HC55184が使用されている。
このチップにより、TAの背後から→電話機までの 回線エミュレーションを実現し、アナログ電話が使えるようになっている。
なお、左の写真・中央部にはブリッジダイオードが1個だけあり、2つのアナログポートが共用している。

ちなみに アナログ部は ものすごく電力を食う。
それなのに、
「電源部(給電)から、えらく遠いなぁ」
と思ってたのだが、基板をひっくり返し、背面を見ると、給電部から直結していた(笑)
GNDで給電している。

ちゃんと 裏表 全部を見なきゃいかんのである。
intersilのチップが、シリアル(RS232C)コントローラにも使われていた。
たぶん HI7190の同型だろう。

このコントローラからのデータバスは、冒頭のロックウェル(だと思う)のチップに直結している。

 

 

コマンド解析

コマンド解析してみよう。
DA Termを使って、使用可能なコマンドを探索してみることにする。

ATS0? : ATS0 = 001 OK 

ATE : OK 
ATH : OK 
ATQ : OK 
ATV : 0 
ATW : 0 
ATX : 4 
ATY : 4 
ATZ : OK

ATD0 : ATD0 NO CARRIER 
ATE0 : ATE0 OK 
ATI0 : ATI0 = BOOT.1.18 OK 
ATQ0 : OK 
ATV0 : 0 
ATW0 : 0 
ATX0 : 4 
ATY0 : 4 

ATI0 : ATI0 = BOOT.1.18 OK 
ATI1 : ATI1 = AP.01.027 OK 
ATI2 : ATI2 = DV.01.027 OK 
ATI3 : ATI3 = ROM Version V1.11 OK 
ATI4 : ATI4 = INS MATE V30 Tower OK 

AT$S? : OK
AT$A0 : AT$A0 = AT$A1 = 1, AT$A5 = 0, AT$A6 = 0, AT$A8 = 1, AT$A9 = 0 AT$A10 = 0, AT$A11 = 0, AT$A12 = 0, AT$A13 = 0, AT$A15 = 0 AT$A16 = 0, AT$A17 = 0, AT$A18 = 0, AT$A19 = 0 AT$A20 = AT$A21 = 1, AT$A22 = 1, AT$A23 = 0, AT$A24 = 0, AT$A25 = 0 AT$A26 = AT$A27 = 0 ATC1 = 2, AT&H1 = 1, AT\T1/1* = 1, AT\T1/2* = 0 AT#ZA0 = AT#ZA1 = AT#ZA2 = AT#ZA3 = AT#ZA4 = AT#ZA5 = AT#ZA6 = AT#ZA7 = AT#ZA = OK 
AT$B0 : AT$B0 = AT$B1 = 1, AT$B5 = 0, AT$B6 = 0, AT$B8 = 1, AT$B9 = 0 AT$B10 = 0, AT$B11 = 0, AT$B12 = 0, AT$B13 = 0, AT$B15 = 0 AT$B16 = 0, AT$B17 = 0, AT$B18 = 0, AT$B19 = 0 AT$B20 = AT$B21 = 2, AT$B22 = 2, AT$B23 = 0, AT$B24 = 0, AT$B25 = 0 AT$B26 = AT$B27 = 0 ATC2 = 2, AT&H2 = 1, AT\T2/1* = 1, AT\T2/2* = 0 AT#ZB0 = AT#ZB1 = AT#ZB2 = AT#ZB3 = AT#ZB4 = AT#ZB5 = AT#ZB6 = AT#ZB7 = AT#ZB = OK 
AT$N0 : AT$N0 = AT$N5 = 0, AT$N6 = 0, AT$N9 = 10, AT$N10 = 10 AT$N11 = 0 AT$N13 = 1, AT$N14 = 8 AT$N20 = AT$N21 = 1, AT$N22 = 3 AT$M1 = 0, AT$M2 = 0, AT$M3 = 0, AT$M4 = 30 AT$M5 = 10, AT$M6 = 70, AT$M7 = 20 AT$M8 = 0, AT$M9 = 00, AT$M10= 01, AT$M11= 0, AT$M12= 0, ATC0 = 2 ATE = 0, ATQ = 0, ATV = 1, ATW = 0 ATS0 = 001,AT&C = 1, AT&D = 2, AT&S = 0 AT#ZN = OK 
AT$S0 : 

AT%D? : AT%D = 2000/01/01/00/02 OK 

AT&C? : AT&C? AT&C = 1 OK 
AT&D? : AT&D? AT&D = 2 OK 
AT&S? : AT&S? AT&S = 0 OK 

 

2000/09/05


Network Diamond Apricot - SOHKA.JSC

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