賃貸住宅に入るとき・出るとき

- 悪質な大家が かなりいる -

△メモエリアにもどる

このエントリーをはてなブックマークに追加
Yahoo! bookmark
Check

はじめに

在宅勤務制をとるDA電研でも、常時、8戸程度の賃貸物件を「法人」として借りている。
多くは、サーバ室や資料室など、賃貸マンションの一部屋を借りて運用する。
会社の寮として扱っている部屋も少なくない。

賃貸マンションやアパートの場合、一部の例外を除いて 全額が「損金」として計上できるため、個人ビル保有当時に比べて、固定資産税など「控除されない出費」をあわせると、格段のコストダウンが実現した。

ただ、非常に面倒なのが、うちの場合 年に最低2戸は 賃貸の入居・退居・移転があり、そのたびに代表者である私が、入居・退居の立会いに行かねばならない。

私の視界内において、入居時におけるトラブルは少ないが、この不景気の世の中、「退去時」にぼったくる大家が非常に増えている。
悪質なところになると、退去立会い時に 暴力団風のオトコを差し向け、高額な「原状回復」を求めてくる大家もいる。
そのたびに、私は、私が何者であるかを、徹底して相手に思い知ってもらうことにしている。

私は 経理畑出身の技術者ではあるが、父の工務店での短いサラリーマン時代、債権処理(いわば取り立て)を担当していた。
そのため「凄みをきかせる相手」の「目」を じっくり見ながら、ゆっくり矛盾を突く技術を体得しているが、しかし、学生や女性が これをやるのは、きついと思う。


たしかに悪質な入居者も多い。
問題の多い入居者に対して、相当の請求を行うのは 大家の権利として当然のことだと、私も思う。
しかし、善良な入居者に対してまで、悪質な入居者に対するテクニックを使い不当に金銭を脅しとろうとするのは、到底許せるものではない。

善良な人というのは、その性格的長所によって「怒鳴られたり」「脅されたり」することに慣れていない。善良な人なのだから当然だ。
だから、ちょっと揺さぶると 容易に 義務のないことを認めてしまう傾向にある。
そこを突いてくるのだ。

ここでは、私が 実際に経験した「悪質な業者」の例を取り上げながら、私が経営者(立会人)として、どう対処してきたかを述べる。
私は 特に「法人」として借りてるから、カネヅルとみた悪質業者に よく狙われる。

なお、実効があった例であって、法律的にはまちがっていたりするかもしれない。
まあ、法律的に間違っている「賃貸契約書」が氾濫しているため、これにあわせねばならないこともあり、多少はカンベン願いたいが、よくわからない場合は ちゃんと専門家に法律相談するように。

 

入居時はかならず部屋を写真に撮れ -入居時には退去時のことまで考えないが これが落とし穴 -

お部屋を引っ越す際、新居に入居するのは、何か特別の目的があってのことだろう。
理由もなく引っ越す人は 少ない。

「隣近所がイヤ」とか「会社に近いところに引っ越したい」とか。
そのため、多くの人が引越先だけ決めたら、「退居側」の部屋に意識が奪われがちである。
引越しの荷造りとか、各種くらしの手続きが あまりに煩雑だからである。
それが終わって ホッとするのは、すっかり新居で暮らし始めた後なのだ。

ここが落とし穴である。

退居時と異なり、入居時は「立会い」がない。
(せいぜい仲介の不動産屋が お部屋を案内する程度である)

この入居者心理を利用して、悪質な大家は その部屋の退居時に、こんなことを言い出したりする。

これらのいずれも、入居時の立会いチェックの不備によって発生している。
こういうことを言われないように、私はかならず 室内の写真を撮影するようにしている。

しかし、天井を全面撮るのは忘れていた。
天井を撮影するには、寝っころがって 上を撮影しなければならん。
また、クロスの柄によっては、前住者が開けたアナに気がつかない場合もある。
まして、「畳表」の下など、チェックのしようがない。

このためにも、入居時には 入念に室内をチェックし、気がついた点は、かならず大家に確認を求めなければならない。
また、写真撮影も、床・天井・カベ・キッチン・バストイレ・押入れ の順番で、全面をフィルム1本使い切る覚悟で 入念に撮影しておこう。


さて、このときは、後悔しても もう遅い。
私は、どうしたか。

照明器具が欠損しているとされた件

このとき このマンションのオーナーは、たしかにシャンデリアが そこにあったとする証拠写真を私に見せた。
私は その写真をカラーコピーして、ひとまずこの件を保留した。
(敷金の清算を半年待つよう、大家に要求した)
さて、一方で、私は 入居当初にポストに残っていた 前住者の電気料金の領収書を、しっかり保存していた。
その名前から区役所で除住民票を取得。引越先を特定した。

その人に尋ねてみると、その人も「シャンデリア代を支払わされた」ことが判明。

さらに、ちょうど、となりの部屋も引っ越すことがわかり、その住人に「ヘンな請求をされたら その件は保留して私に連絡してくれ」と頼んだら、案の定、2ヵ月後に その住人から連絡。
「シャンデリア代」を請求されたことが判明。
そこで、その住人に「その写真のコピーをとってくれ」と頼み、出てきたのが、私に提示された「証拠写真」と まったく同じものだった。
(マンションやアパートは どこも同じ部屋だし)

刑事だか民事だか よぉわからん事件であるため、被害者3人の連名で「敷金返還訴訟を起こすぞ!」「シャンデリアの領収書を見せろ!」と大家に詰め寄った。
その結果、大家は 弁護士を通じて、敷金に年15%の金利を上乗せした金額の返還を提案してきた。
 その際、大家はカオも見せず もちろん謝罪もなく・カネで済まそうとしていた。
その態度に 私は、即行で警察に被害届を提出。(刑事事件化)
同時に、その間に調べ上げた、「マンションの過去居住者リスト・11世帯分」を大家に見せた。

 すると、敷金の倍額の返還を、弁護士を通じて提案。
これに他の二人は応じたが、私は応じなかった。
結局、最終的に この額に さらに見舞金10万円が加わり、大家の息子から私に「供託」というカタチで強制的に支払われた。
大家本人からは「謝罪状」が内容証明で届いた。
これが事実上の決着となった。

ただ、この件は 運が良かったにすぎない。
債務のない住民の「除住民票」を「合理的な請求」と判断して 他人の私に交付してくれた区役所の配慮がなければ、こうはならなかった。
 

壁紙(クロス)が破れていたとされた件

結論から言うと、これは負けた。
アナだけを調べても、誰が開けたものかは証明できない。
(私が開けたものではない、と証明できない)

結局、アパートの部屋の壁紙(クロス)の張替え代金として、15万円を請求された。
いったんこれに応じて、張替え後の立会いを要求。

その後、その立会い時に、知り合いの土地家屋調査士を同席。
算定してもらった結果、張替えには7万円しかかかっていないことが判明。
ところが、大家がクロス屋から受けとった領収書には15万円と記載されていた。
(バックリベートというカタチで、大家に8万円が渡っていることは みえみえだったが、どうにもならなかった。)
そこで、室内の配電盤のウラに残っていた「張替え前の壁紙」をサンプルで持ち帰り、知人の壁紙メーカーの営業マンに鑑定を依頼。
その結果、私が入居する9年前に製造が打ち切られたものと判明。
少なくとも 私の入居時に、張り替えられたものではなかった。

ここを突いて、防炎クロスの償却年数「8年」で割り、残り2年分・4万円だけを支払うことを提案。
最初は拒否した大家も、裁判を起こすぞ!と詰め寄ると、しぶしぶ納得。
こっちも土地家屋調査士の鑑定費用や各機関への謝礼で、10万円を超える出費があったため、合計すると「なにやってんだか わかんねー」という結果になった。

畳全体の交換を主張された件

この問題は、外見がややこしいワリに、処理がカンタンだった。
まず、オイルが染みていたとする「畳」に関する証拠がなかった。
後に「その実物を見せる」というので、畳屋に出向いたところ、明らかに後から染み込ませた畳が出てきた。
なのに 私が退居時に撮影した室内写真(の畳表)には少しも染みていなかったことから、「これをどう説明するんだ」と詰め寄ると、あっさり折れた。

また、入居できなかった期間の損害についても「法的根拠のない」勝手な算定・請求である。
たとえ 実際に私が畳を台無しにしていた場合であっても、私が新品の畳を、後の人の入居日までに 持っていけば済むことである。
それを黙って、入居ができなかった期間で 勝手に算定して請求されても、私には支払う義務がない。
大家も とりあえず「いいがかり」をつけたかっただけらしく、
「あんたみたいに 細かいこと言うヤツはいない」
と、わけのわからん 捨て台詞を吐いて 去っていった。

誤解するな。
私だって、自分に非がある 損害は、いつも気持ちよく払っている。
退居時の「清掃費」も、5万円(実費は2万円でも)を請求されたら、素直に支払う。

「畳表」に関しても、損傷のあるなしに関わらず「畳表は」「消耗品」と私は考えているから、1ヶ月でも住めば、交換することに文句は言わない。というか 交換することが基本である。
そんなことまで ケチケチしない。

しかし、支払う義務のないものには、1円だって払う意志はない。
家賃は 私も納得しているが、それ以上の「欲ボケ」に 私がつきあう義理はない。

立会いは、かならず複数で - トークが苦手な人には特に重要 -

私は、一度、まったく「非の打ち所のない退居」を やったことがある。
その部屋は、会社の「精密機材室」として借りたマンションの部屋で、各種電子機器を保管する部屋であった。

30万円もする、「加湿機能つきエアコン」を入れ、窓には紫外線(UV)カットフィルム、カットカーテンが入り、湿度50%・気温18度~24度に保たれる部屋だ。
(私のインターネットアスキーの連載でも登場した部屋である)

私にとっては、昼寝にもってこいの場所で、隠れ家でもあった。
もちろん禁煙である。
もはや、この部屋に生活色はない。

ただ、あまりに電気代が すさまじく(3万円強/月)、この部屋は廃止が決定した。

ところが この部屋の退居時に、立会い中、大家の代理という者から、次の点を指摘された。

そんなわきゃないだろう!
私は「その根拠は なんですか?」と 大家の代理という者に 尋ねたところ
「ワシのカンや」
と、ただ一言。
「カン...って あんた...そんな...」
と私が あっけにとられていたら、
「なんか文句あるか?せっかく立会いに来てやったのを、文句つけるのか?立会いに来させるというのは、アラさがしてください、ということやろ!だからワシはアラさがしたってるんや!」と凄んできた。
「...だからといって、根拠のないもの指摘されてもねぇ」と、私がにらみ返すと、
「なんだとこらぁっ!」と私のネクタイを掴んで 締め上げてきた。
「おまえみたいな若造はなぁ!」
彼が そう怒鳴ってさらに力を強めた瞬間。

私は反射的に、相手の手首を掴み、関節を内側にねじりこんで、組み伏せた。
相手の肩関節がはずれる感触を感じた。
その瞬間、「あいたぁっ!あいたたたぁっ!」と、大家の代理は ハデに床を転げまわり「救急車よんでくれぇ!」と大声で叫んだ。
しかたないので救急車を呼ぶと、タンカのうえから、
「おまえっ!あとで きっちりハナシつけるからな!」
と叫んで 救急車で去っていった。

夕方まで、警察から何の呼び出しもなかったので、私は自ら警察に出頭した。
じつは、マイクロテープレコーダーで 「そのときの」やり取りを録音していたのだ。
所轄・強行班の刑事さんは、その声を聞いて
「どっかで聞いたことあるぞ」
と、生活安全課の刑事も呼んで検討がはじまった。
そして「何か言ってきたら、まっさきに連絡ください。この課の誰の者でもいいです。呼び出してください。けっして一人では行かないでください」と、社交辞令抜きのアドバイスが出た。
そして、被害届とも上申書ともいえない「調書」が取られた。
そのときは、その意味がわからなかった。

1週間後、その「大家の代理」が、病院から、「いますぐこい!」と電話してきた。
予定通り、所轄に電話したら「私共が行きますので。大家さんはすでにうちに呼んであります」と、えらくハナシが早かった。

聞けば、かなりシャレにならないハナシだった。
私の入居していたマンションは、私の契約後に「オーナー」が「破産」。
「違法団体」の占有物件になっていた。※所有物件ではない

じつは、私の借りていた部屋の隣が「銀行の社宅扱い」になっていたのだが、その銀行からは「恐喝」で被害届が出されていた。
その「大家の代理」は、なんと「自分の関節をはずす達人」で 相手に正当防衛をさせた瞬間に、自分の関節を外し、治療費を請求するヤツだったのだ。
同様の前科があり、先の「恐喝」で被疑者は特定できていたが、いつのまにか、行方がわからなくなっていたので、警察も探していたらしい。
そこに私が出頭してきたものだから、決定的なチャンスとなったわけである。

私が、会社の代表取締役ではなく、普通のサラリーマンなら、直属の上司でハナシが止まり、「これでなにとぞ...」と自腹を切った見舞金が支払われるところだ。
くわばら、くわばら。


この事件は、重大な教訓を残してくれた。
入居時・退居時の「立会い」は、かならず複数で向かわねばならないということである。

通常、立会いの現場で暴力がふるわれることはないが、それでも 口頭で強いプレッシャーをかけてくることは よくあることなのだ。
さらに、大家側から来る立会人が複数の場合もある。
それを女性(奥さんひとりなど)や学生が、孤軍奮闘するのは、まことに精神的にきつい。

入居時の立会いも、複数でやっていれば、後で「とんでもない いいがかり」をつけられても、証人となってくれる人が存在する。
これは極めて重要なことなのだ。

家族や彼氏・彼女を現場に同席させることは、相手にムチャを言わせなくて済む。
万が一、暴力をふるわれたとしても、片方が外部に救援を求めることが可能であるため、後々いわれのない事件に巻き込まれにくくなる。

断じて、入居時・退居時には 立会いが必要であり、それは複数で参加するべきである。

契約書もヘンだよ

賃貸契約書に記載されている条項にも、違法なものや不当なものがよくある。

あなたが お部屋の契約を交わすということは...
それは あなたが その部屋を 一番気に入ったからこそであり、「他にまわされたくない」という意識がはたらいているから、多少、不明瞭なことが書かれていても、ハンコを押してしまうものである。

しかし、ちょっと待っていただきたい。
大家さんの方でも、「条項ひとつ渋って1ヶ月間 空き部屋になるくらいなら、すぐに入ってほしい」と思っているのである。

いったん手付金を打った後に出てくるのが、契約書である。
この順番に留意いただきたい。
不当な契約条項が書かれている場合、入居者は、それをたてにとって、いつでも契約を「先延ばし」できる。
このことから、引越しにはゆとりを持って行うのが鉄則と言えよう。
私は、家賃を「値切る」ことも、たびたびあるぐらいだ。
(そして、その家賃が 周囲の相場からして妥当なものであれば、大家さんは かなり気軽に応じてくる)

なお、どの不動産情報誌を見ても、その情報誌で発表している「付近の相場」は、実勢価格より1割増ぐらいになっている。
これは その情報誌が「広告雑誌」である以上、そこに出ている物件広告の「家賃」を妥当に見せるためである。もとより アテにならん。
したがって、不動産情報誌に出ている「家賃」なら、交渉次第で1割は下げられる可能性がある。
(もちろん すべてではない。家賃収入よりも入居率を重視する大家さんは、最初から相場どおりか・安い家賃で出してくる)

借地借家法が改正されたとはいえ、落ち着いてみれば、借り手に有利な交渉は いつでもできるのだ。


にもかかわらず。だから、というか。
いまだに
「無断不在1ヶ月以上に及ぶときは~室内遺留品を売却し債務に充当する」
などと、そんなことを大家さんがやろうものなら、うちなら その10倍額の損害賠償請求をやるであろう条項が書かれている契約書もある。
(ソフトウェアなど売買が禁止されているものを滅却した場合は、その流通価格が買い直し時の損害賠償になる)
(また うちのように電気通信事業者の場合は、無人サーバーを止めること自体が電気通信事業法違反である)

違法・または不当な条項については、効力がないから放っておいてもよい。
しかし私の場合は、いちいち 詰めることにしており、違法な特約条項を契約書から摘除(削除)させることが多い。

なんせ、私は「工務店」のせがれである。
これが ひとつの楽しみでもある。

 その例としては、

もう一度、あなたの交わした契約書を見渡してほしい。

民法では「契約の自由」の原則から、上記各条項を大家さんが設定すること自体は違法ではない。
しかし、不動産賃貸借契約は、民事・民法の世界である。
著しく不当な条項であれば、これを守る義務もないのである。

たとえ契約書に書かれていて、それに捺印していたとしても、拒否する権利は 自由に存在することを忘れてはならない。
契約書にそれを守らない場合の罰則規定などはないし、設定することも許されていない。
唯一できるのは「契約の終了」だけなのである。
そして、それは 多くの場合 2年後である。

 

消耗品の判断・算定方法

賃貸物件を借りたときの「原状回復義務」は、その解釈をめぐって、よく対立点となる。

だが、私が見た範囲では、「正当な請求」と「不当な請求」の間には、基本的に次のような「規則性」が見受けられる。


いずれの場合も、原状回復とは「入居時に戻す」という意味ではないことに留意する。
カーペットやクロスなど、償却期間が6年~8年で「財産価値がゼロ」になってしまうものを、借りた人が全額負担する義務は どこにもないのである。
ふすま・畳表など「消耗品」は、入居者の負担ではあるが、その消耗品にしても たとえば「電球」などは、切れても負担しなくてよい。(ただし 入居中は 消耗品の修理を大家に求めることは困難)

おっと忘れてた

特約(特記)事項に、クロス取替え費用「○万円」とか書かれていても、それを守る必要はない。
そもそも 時代の経済事情で いくらでも変動する「数字」を特記事項に書くこと自体が 誤りなのである。

ちょっと わかりにくいと思ったら...
「その室内で 勝手に変えることが禁じられているもの」
は、すべて その部屋の「設備」である。
すなわち、畳・カーペット・クロスは、あきらかに建物の一部であり、その所有権は「大家」に帰属するものである。
その損耗修繕費用は 家賃にすでに組み込まれていなければならない。
つまり 入居者に修繕義務は 本来ないのである。

税法上、その建物の「評価」は、それら「設備」を含んで計上されている。
そして その償却における評価損を、大家は毎年、家賃の一部で補填している。
すでに 大家は税制上の優遇を受けているのだ。
その償却部分を入居者が家賃とは別に負担するというのは、もとより おかしいことなのだ。

賃貸物件の特記事項の中で、畳・カーペット・クロスなど「一見して交換可能なもの」を「取り替える」というのが、じつは大修理・大修繕に該当し、建物の一部を「改造した」とさみなされるのは、そこらあたりが理由である。
もし汚損による修繕が入居者の義務なら、入居者は 自分の費用で、自分の入居中の好きなときに、いつでも新品に「きれいにしてよい」はずである。
が、実際には大家の許可が必要であり、しかも 大家の 好きな時期・面積・柄まで指定できるとするなら、その費用は大家が負担すべきで、入居者が一方的に負担するのは不自然なのだ。

だからこそ、入居者に「改造するな」と言わねばならないところを、その原状回復の言葉が一人歩きし、とんでもない「権利」に化けているのが 現状なのである。

だが、もちろん入居者側にも 相当なモラルが必要である。
私が 高い確率で、悪質な大家との戦いに勝てるのは、必要な部分は 必要な以上に、入居者モラルを守っているからこそである。

(2001/02/27・山崎はるか)


※具体的な手順については大成出版社 発行「賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブル事例とガイドライン」\2,415 が詳しい。「賃貸派」の人は、これ一冊で 一度は元が取れるだろう。


■メモエリアに戻る