東京都中野区の私の部屋にある「まねき猫」
これ、じつは「もらいもの」
いや、正しくは もってきちゃったもの。
その場所、猫神社。
高知県 須崎市の箕越(みのこし)というところにその神社はある。
猫にまつわる神社は 他にもあるだろうが、しかし、猫の神様を祭って、しかも その名が「猫神社」というのは、私の知る限り ここだけだと思う。
しかし、この神社の存在は、地元・高知の人にも、ほとんど知られていない。
私も、友人から『おもしろいところがあるよ』「そこを右」「ここを折り返して」って正確に案内されて、はじめて知ったぐらいである。
市道からも離れた、行き止まりの集落で、なかなか人目につきにくい。
さらにガイドがいないと 到達できない道路事情、まして、観光マップになど 載る規模ではなく・・・
ここが 知る人ぞ知る場所で あり続けたのは、そういうことだろう。
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ただ、私は・・・
私は はじめて 行った そのときから、この場所が持つ なんともいえない「懐かしさ」のとりこになっている。
猫神社の風景
猫神社は、高知県 須崎市の 箕越地区の漁船造船所の近くに、ひっそりと建立されている。
猫神社 |
対岸のサイロ跡 ※現在はさら地 |
様式は一間社(いっけんやしろ)に近い |
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鳥居 | 須崎湾を望む海沿いの道 |
鳥居と角柱・本殿からなり、狛犬・灯篭(とうろう)はない。 というか 猫神社に 狛犬 って・・・ どうかと思うけどね。 |
この神社を管理しているのは、地元・箕越地区の方々である。
ご近所の方に お話をうかがったところ、
「ちいさな団体さんが マイクロバスで訪れたり、あるいは 可愛がってた猫がいなくなったなどで、いろいろ ご祈願されに 遠くから
やってこられる人もいらっしゃいます」
とのこと。
また、数年に1回・地元では ちゃんと「お祭り」もしているらしい。
ただ、ちょっと 困っていることがあるそうだ。
「これを見てください。」
そういって 小さな身舎(おもや)を ご開帳いただいた・・・あら!
まねき猫さんが いっぱいいる~!
「そうなんですよ・・・」、と。
「どなたが はじめられたのか知りませんが、まねき猫
が供えられるようになりまして・・・
それを見た人が、次は自分も・・・と、持ってくるんでしょうね。毎年 すごい勢いで増えるんですよ。
でも・・・こんな ちいさな 社でしょう。とても 入りきらずに、あっというまに いっぱいになるんです。
なので・・・・毎年、処分しなきゃいけないんです。」
(処分とは?)
「ぬいぐるみなどは燃やせるんですが・・・陶器のは・・・割るしかないんです。」
(割るんですか・・・)
「そうなんです・・・割って埋めるしかないんです。つらいですよ。猫神社を守ってるぐらいですもの」
(つらいですね)
「はい、なので 可能な方は、ひとつ持って帰っていただけると 助かるんです」
(いいんですか?)
「もちろんですよ。あなたも どうぞ おもちください」
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私の部屋にある「まねき猫」は そういう由来のものなのだ。
でも 霊験あらたかなのか、以後、うちの会社は たいへん調子がよい。
これは (割られる運命から) 救われた、 まねき猫の恩返しなのかもな・・・
場所が 場所だけに、観光地化は しそうにない場所なので、知られざる「猫神社への行き方ガイド」を書いておくことにする。
ただ、忘れないでほしいのは・・・
猫神社は 「地元の人たちによって」つくられ、地元の人たちのこころを こめた ちいさな・大切な神社である。
それは、寄進者の名札や 手作りの本殿などが物語っている。
参拝される方は、地元の方々への 最大限の敬意とマナー、エチケットを厳守していただきたい。
猫神社は地元の大切な宝物なのだ
場所を確認 | ||
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場所
高知県須崎市 多ノ郷乙・箕越(みのこし)
クルマ:高知道・須崎東ICより10分 現地図 引用・Mapion
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行き方 | ||
(1)国道56号から 県道284号へ
高知道・須崎東ICをおりると、国道56号線につながる。
この交差点は、できたばかりで 案内標識が整備されていない。 |
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(2)橋をわたって 道なりに「野見」方向へ
先ほどの交差点から400mほどで、橋がある。 ※この先、セメント工場のそばを通るため、とても ほこりっぽいので、クルマは窓をしめておくように。 |
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(3) 分岐を右(海岸沿い)方向へ
徒歩・クルマ・バイクの場合は、この分岐を 海岸方向へ |
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(4)大型車・マイクロバス転回点
ホイールベースが長い大型車・マイクロバスは、この防波堤が転回限界点となる。
一般のクルマは、この先・神社横の転回エリアが使えるので進んでよい。 |
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(5)猫神社に到着
転回スペースは この程度 立札に「駐車禁止」と書いてある。 |
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気持ちよい場所なので、散策をたのしんでいただきたい。 |
(2005/07/30・山崎はるか)
当ページにて「猫神社」を紹介して以降、地元の新聞にも掲載されるなどして、実際に参拝される方が 増えておられるようです。
そういったなかで、猫神社の奥扉の中にある「御神体」(猫神様)そのものを撮影し、その写真を自身のサイト・ブログ等に掲載される方がおられます
が、きっと 悪意はなく、うれしさのあまり民俗に対する姿勢・エチケットを お忘れなのだと思います。
基本的に神社の御神体は、撮影どころか・目で見ることもできないのが本当です。(学術的に必要なときに限り、地元の代表者または神社庁などの許可を得て限定的に撮影できる種類のものです)
どのようなものであっても祭祀(祭ること)されたものについては 一定の神秘性を伴っているものであり、その意思を尊重することが大切
といえます。
猫神社では、遠くからの来訪者に対する 地元の方の配慮により、奥殿御扉を すこしだけ 開けて
猫神様が「チラ見」できるようになっていますが、地元の正式な許可がない限り、御神体(猫神様)の写真をWebで掲載することはおひかえください。
(外観の撮影・掲載は 問題ありません)
(2007/01/29 山崎はるか)
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