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航空特殊無線技士の講習

Wireless license of airplane

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講習なら 実質 3日で終わる

日本人が 日本の空で飛行機を操縦したいなら。
「航空無線通信士」か「航空特殊無線技士」の どちらかの無線免許が必要である。

前者(航空無線通信士)は 定期輸送業務・つまり「航空会社の定期便」を操縦する人、および管制官が取得する免許。
外国のパイロットや管制官と会話する必要があるので、試験科目には英語とかが入っている。
航空無線の免許としては最上位である。
後者(航空特殊無線技士)は それ以外。つまり不定期(チャーター便)や報道ヘリコプター、そして自家用航空機を操縦する人が必要とする免許だ。
いずれの免許も 航空機・または管制施設に設置(直結)された無線機器を操作できる免許である。

同じ 空の無線でも、パラグライダーやULPなど 無線機を人間の身につけるタイプのものは 4級アマチュア無線免許で充分である。

私の場合は、自家用航空機(小型機)の免許の取得なので、航空特殊無線技士 の免許である。

航空特殊無線技士の免許をとるには、
・国家試験を受けて合格する (試験は各主要都市で年3回・試験1日・\5,450) →独学の人が多い
・日本無線協会の養成課程を受けて 終了試験に合格する (東京本部で 年4回・各3日間・\39,900)
の2通り。

将来的に航空無線通信士の取得を視野に入れているなら、力試しをかねて 独学で 国家試験を受けることもあろうが、プロになる気は さらさらないし、3日間で ばっちりとれてしまう 養成課程のほうが 仕事への影響も少ない。
なので、多少 高くつくが 養成過程のほうで取得することにした。


養成過程の申し込みは、財団法人日本無線協会に行う。
それぞれの地域で 若干・異なることがあるので 受講する地域をよく確認しておいたほうがいい。

1.準備

費用・申し込み

申込用紙がPDFで出ているので、それに 記入し
写真と共に郵送後、費用を振り込む

受講料 \39,900
従事者申請用紙
+
免許申請手数料
\150
 +
\1,750
合計

\41,800
※まとめて振り込んでもよい

 
切手 \80 ※会場で売っている

しばらくすると、こんなかんじで受講票が届く。

“航空”という文字に、いつか この空を 飛ぶのか・・・みたいな、なまめかしさを感じてしまう。

2.受講

 

会場(本部)では、当日、入り口に 案内カンバンが出てた。

エレベーターが わかりづらいのと、受講者が多い場合は順番待ちになるので、普通は階段を使う。
 教室前にも 案内掲示がなされている。
POINT

教室内で受付・残金の支払いをすませる。

振込み時に 全額支払っている人は、ここで出席の確認のみとなる。
教室内は こんなカンジ。

受講料がそれなりの金額だけに 欠席者は参加30人中・2名のみ。
年代は 30代〜40代中心。
ま、自家用飛行機に乗れる収入の人は、それなりの年齢だろうし、また、ひやかしで受講してる無線免許マニアな人も、やはり それなりの年齢だろう。(ケータイ世代が 無線“免許”に興味があるとは思えん)

男性が多いが、女性も数人いる。
座る場所は、受講票の番号で定められている。
エアコンの吹き出し口の関係で 寒かったり・暑かったりする場合は、席の変更を申し出ることができる。

授業中、飲み物は好きに飲んでいい。ただし飲んだ後はフタを占めて席の下に置くよう指示がある。(ボトルを転倒させちゃう人がいるんだろうね)

また、講師の音声マイクは 他の教室とのかねあいで、必要最小限まで絞っているので、聞こえにくい場合は ちゃんと主張したほうがいい。
後述するが、講師は 試験に出そうなところだけを 主に講義するし、『ここは重要な部分です!』とされた部分を聞き漏らすと、せっかく4万円もかけて受講した意味がない。
教科書は あらかじめ席においてある。

電気通信協会から これだけ買って独学し、国家試験を受ける人も少なくないそうだが、意外に濃い内容なので「養成にしてよかった」と思った。
この歳で、こんなに おぼえらんねーよ。 仕事あるんだし。
 

時間割 (9:00〜17:00)

期日 午前 午後
1日目

法規3時間

電気通信術1時間 法規 2.5時間 補習
2日目

工学3時間

法規 2.5時間 電気通信術1時間 試験
3日目

法規3時間

工学2時間 法規・工学試験

カリキュラム・時間配分は、おおむね このようになっている。

POINT

1日目の最終コマに、電気通信術が苦手な人のための補習が設けられることがある
2日目に電気通信術の修了試験がある。
3日目が 法規・工学の修了試験となる。

試験結果は 即日発表(試験後1時間ぐらい)
落第した人は 別日に補習が設けられ再受験することができる。


POINT
養成過程では、法規・工学ともに、かならず「模擬試験問題」が配布される。
ここからの出題頻度は50%あり、これのために 4万円を払うといっても過言ではなかろう。

講師によって、講義初日に配る人もあれば、試験前日に配る人もいる。

あわせて 教科書上で「ここは重要ですよ!」と注意された部分と重なっている場合は、ほぼ間違いなく出題される。
POINT
ナメてかかれないのが、「電気通信術」である。
電気通信術とは 「ABCDEF・・・」を「アルファ・ブラボー・チャーリー」と読み替えてしゃべる・聞き取る技術で、航空無線では 必須である。

講義では、いきなり「読み上げますので書いてください!」「この列の人、読んでください!」とはじまるので、自宅での予習無し(送話経験無し)で 講義を受けた人は、到底 読めるはずもなく、はずかしいメにあってしまう。
(受講者には、海外で操縦ライセンスを取得し、無線免許だけをとるために受講している人も多いから、そういった“経験者”の中で、自分だけ 送話できないのは かなりあせるだろう)

私のときは 5名ほど、居残り補習となっていた。

練習用ソフトウェアで予習しておくか、PCフライトシミュレーターのATCを声に出して読む練習を 1週間以上 前からしておいたほうがいい。
(参考) フォネティックコード

 

免許証は 3〜4週間後に届く

3日目の法規・工学試験を終えると、その日のうちに合格発表がある。
自己採点では満点でも、何があるかわからないから、合格発表は見ておいたほうがいいだろう。

免許証は 私の場合、合格発表後 3週間で届いた。


ぶっちゃけ、私にとって 受講料 4万円は 安かった。
国家試験でも、教科書と参考書を買って、受験料を払えば1万円ぐらいにはなる。
しかも 年に3回しかない受験チャンスで、その かなり前から勉強をはじめなければいけない「その労力」を考えれば、仕事を大量にかかえた社会人には リスクが大きすぎる。
学生さんや 免許マニアの趣味で受けるなら、国試のほうがいいと思うが、私にとっては まじめに受ければ確実にとれる「養成過程」のほうが 生活スタイルに合致している。

 また、これは 受講してみて思ったことだが・・・
はじめて無線技士に挑む人の場合は、講習があったほうが 基礎的な知識がついてよい。
実際、航空特殊無線技士の講習を受けている人の中には「これの次は 航空無線通信士を国試で受ける」という人もいて、休み時間に 講師に その質問をしている人もいた。
そういった人には、この養成過程は かなり安上がりだろう。

 私も この後、試験慣れしているうちに・・・と、 二級陸上特殊無線技士も 養成過程で難なくとった。
ただ、試験問題が 航空特殊無線技士と ほぼ同じ範囲だったので、なんらかの特殊無線技士をとっている人なら、他の免許は国試でとったほうがいいだろう、というのが私の所感である。

(2006/02/09・山崎はるか)


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