ノートPC用の PC/133規格144ピンS.O.DIMM:256MB で動いた
ほんとに、すばらしいプリンターなんだよね・・・リコーの
IPSiO SP 4000。
あえて難点をいうなら、この機種は「取扱説明書」が粗雑ってことだよね。スケジュール上の事故でもあったのだろうか。
すっごくみづらい。「詳しくはCD-ROMで」のようなやっつけの補足も多い。しかも、そのCD-ROMのほうでも情報が不足気味。
製品自体は ほんとにいいものなんだけど。
さて、困ったのが「増設メモリ」。
取り付け方の図解はあるのだけど、取り付けた後の設定変更、そもそも取り付けるメリットが一切不明。
増設結果を有効たらしめる方法とか、増設の判断基準が判らなければ、増設の意味がなくなってしまうじゃないか。
そこで、今回は いろいろたしかめながら、メモリの増設と設定および意義を考察してみる。
カタログによると、純正品は
などと記載されている。
・・・ちょっとお高いなぁ
部品ストックを持っていたり、オークションで\1,000程度で手に入ったのなら、そちらから試したほうがいいと思う。
増設は成功した。次は、それを有効活用するための設定変更である。
ぱっと本体メニューを見たところ、メモリーにかかわっていそうなのは、
インターフェースセッテイ → 1.ジュシンバッファ
システムセッテイ → 9.ユウセンメモリー
ぐらいのもののようだ。
ジョブスプール(異なる印刷物の順次記憶)関係の設定はなさそうなので、おそらく自動でメモリの上限いっぱいを使うか・あるいはまったく関係ないという仕様かもしれない。
本体LCDの メニュー → インターフェースセッテイ → 1.ジュシンバッファでは、
16KB・32KB・64KB・128KB・256KB・512KB
が選べるようになっている。
おそらく受信バッファであろうが、よくわからんのは「これは何の受信バッファなのか?」である。
パラレル?LANカード?USB?
いろいろ考えられる。
これについて リコーさんにおたずねしたところ、「プリンタ本体(制御)の受信バッファ」とのことだった。
なるほど、なつかしいな。
いまの人にはさっぱりだろうが、1980年代のプリンタは、NECプリンタ(PC-PRプリンタ・NMプリンタ)とかESC/Pというのがあって、それぞれ異なる制御コード体系だった。印刷には、プリンタに合った制御コードを指定しないと、わけのわからん文字が「ぷぎゃぎゃぎゃ」とインパクト出力され、その音で大慌てするというのが、初心者の風物詩であった。
横道にそれるが、この制御コードは、ページプリンター・すなわちレーザーの時代になると、ページ記述言語に発展し LIPS(キャノン)やESC/Pageが登場する。このあたりから、プリンタのメモリ内にページ全体を展開して(描いて)から、あらためて紙に印刷することを前提にしたコード体系になった。
リコーの場合、RPCSやRPDLと呼ばれるのがそれである。
さて「プリンタ本体(制御)の受信バッファ」は制御コードの時代からすでにあった。
古来のプリンタは「印刷中はPC本体も印刷に専念させる」タイプライターのような手順だったが
やがて「改行までの1行分はプリンタがスプールする」ためのメモリをバッファと呼ぶようになり、
さらに「印刷したかどうかに関係なく、1印刷ジョブを受け取れるいっぱい受け取ってPC本体を解放する」ような目的で使われるメモリーをバッファとするようになった。
現在 そのバッファは、ページ記述言語を受け取る一時領域として用いられるていることが多いはずだ。
それにしても、はて?
この時代にそういう部分が可視化されたり・あるいは調整できる機能に意味があるのだろうか。
その理由は リコーのページ記述言語・RPCSの特性にあるようだ。
私もくわしくは理解していないが、RPCSは対話型なので、とりあえずバッファいっぱいに PCに印刷リクエストをしゃべらせるようだ。
その際、RPCSプリンタはバッファを読みに行って、解釈可能な部分まで処理するが、PCに再質問が必要な項目を発見すると、バッファをクリアして、PCに問い合わせや再送信を要求する。
なので かならずしもバッファに入ったすべてが利用されるわけではなく、プリンタのフレームバッファの描画状態や、演算状態によっては、あらためてPCに再送信を要求することもある。したがってバッファが大きいことが絶対に有利というわけではなく、印刷規模や品質によって最適な設定は変わることもある、ということのようだ。
リコーさんとしては、「出荷時の設定で問題はないが 受信バッファが原因の不具合が発生したときは中間の設定をアドバイスすることもある」ようだ。
この件は、次の ページメモリー・ユーザーメモリーに関わってくるのであるが、
メモリが最大ということで、メモリーの逼迫やジョブ遅延による再送信リクエストは減ってくると考えられる。
メーカーのアドバイスは、とりあえず 中間ということだから、128KB に設定しておくことにした。
本体LCDの メニュー → システムセッテイ → 9.ユウセンメモリーでは、
ページメモリー
ユーザーメモリー
のふたつを選択できる。
選択できるのはわかるが、それぞれの用語の意味がわからん。さんざん調べてみたが、さっぱりわからん。
ただ「優先」ということだから、どちらか選べば すっぱりチェンジするわけではなく、なにかあったときどちらに割り付けられるか、という意味のように見える。
これについて リコーさんにおたずねしたところ、だいたい次のような考え方であった。
なるほど。
BMPのようなベタ画像が広大とか、ものすごく細かな(計算を要する)印刷をするときに、どっちに優先的にメモリを割当るかってことね。
通常は時間がかかっても印刷面重視だから「ページメモリー」が出荷時設定になってるということか。
ちょっと、メモリー増設の意義が見えてきた。
たっぷりメモリーがあれば、優先もなにも、フレームとワークの衝突はないわけで。
複雑な濃淡の写真デザイン画(ページメモリー)でも、あるいはイラストレーターやCADのような緻密な曲線画(ユーザーメモリー)でも、両方に最高ポテンシャルを出せるようになるわけね。
ということは前述の「ページ記述言語」が特に扱うのは、ユーザーメモリー(ワークメモリー)なので、ベクトルフォントやベクトルのイラストを扱う人は、ユーザーメモリー優先のほうが速く印刷できるかもしれない。
ただ、IPSiO SP 4000 が扱える用紙サイズの範囲であれば、1200dpiの高精細で出したとしても 256MBの上でユーザーメモリーが侵食されるようなことはおそらくないので、基本は「ページメモリー」のままで、よほど遅いと感じるようなら「ユーザーメモリー」にしてみて、いいほうを選ぶ・・・というのでいいんじゃなかろうか。
具体的には、「本体のデータインが点灯してから速く印刷されるほう」「エラーで終了しないほう」を選ぶなど。
私は、速度よりも品質重視で ページメモリー優先 に設定しておくことにした。
私の利用環境では、緻密な印刷も、異なるジョブの混在印刷もないので、特段 メモリを増設して速くなったという印象はない。
そもそも、この機種は、業務用機の系統であり、もとから かなり速い印刷をする。数枚の印刷ならスプールを感じる機会すらない。
モノクロ専用機なのだから、なおさらだ。
ただ、メモリ増設の判断材料については、本機のソフトウェアガイドに少し言及がある。
たとえば
印刷品質でいうならば、すくなくとも1200dpiの場合、標準の32MBでは印刷品質が落ちる場合があることが、ソフトウェアガイドに記載されている。※「メモリー容量と用紙サイズ(IPSiO
SP 4000の場合)」
また標準32MBや96MBでは、1200dpiの不定型サイズ(最大)が印刷できないことも記載されている。
なので、いずれにせよ128MB以上のメモリ増設はしといたほうがいいと私は考えた。
ただ、メーカー標準品の価格が高すぎると思うので、もし、
PC133:144ピンS.O.DIMM の128MBまたは256MB
のあまりものを持っているなら、それを使って試してみてからがよいのではないかと思う。
(2010/11/03・山崎はるか)
加筆:なし